杢目とは?
こんにちは。
レジンテーブル槐です。
「杢目」とは木材に出現する、特殊で価値の高いとされる模様です。
一般的に「木目(もくめ・きめ)」と呼ばれる、木材の表面に見られる年輪の模様とは異なります。
杢目は、複雑な多面模様をしており、木の傷や気象により年輪が変化することによって出現します。
また、同じ樹種でも切り取る場所が違えば杢目も異なるため、同じ杢目は二度と現れません。
杢目のある一枚板は、非常に希少性が高く、芸術的な見た目の美しさも備えているため、
取引価格も高額となっています。
家具に使う一枚板を選ぶ際、どのような木目を持ったものを選ぶかは
見た目を大きく左右する重要な要素です。
その木目のなかでも、杢目(もくめ)があるものを選ぶことで、
さらに美しく、唯一無二の個性のあるテーブルを作り上げることが出来ます。
そんな杢目には、同じ形のものはないと言えど、模様の表情や樹種によって様々な呼称があります。
杢目の種類が分かれば、より一枚板選びを楽しめるようになるでしょう。
今回はその代表的な杢目の種類についてご紹介していきます。
ただ、杢目は感覚的な呼称も多く、見る人・部位などによって呼称が変わる場合があります。
杢目の種類
・縮杢(ちぢみもく)
縮杢は、木目が縮んで波上になり、皺が寄ったような模様に見える杢です。
見た目の似ている伝統的な生地の「縮」から名前がつけられました。
皺模様は繊維方向の木目と直交して現れるのが特徴で、リップルマークや漣紋(さざなみもん)、カーリー杢とも呼ばれます。
・泡杢(あわもく)
年輪のなかに気泡が入ったように見える、丸い模様が現れた杢を泡杢といいます。
後述する玉杢とよく似ており、人によっても見え方が変わってくるため、見分けるのが難しい杢目の一つです。
ケヤキの木で発生しやすいとされる杢で、楽器などに使われる北米産のメープル材で見られるキルテッド杢も泡杢の一種に分類されます。
・玉杢(たまもく)
玉杢は、大小の丸い玉が散りばめられたような模様の杢で、「珠杢」ともいわれます。
ケヤキやタモの木に現れやすく、特に木のコブがある場所で発生しやすいとされる、代表的な杢目の一つです。
派生種も多く、泡杢ともよく似ています。
大小の玉がバランス良く広範囲に散らばっているものは非常に希少で、玉杢のなかでも最高級といえるでしょう。
・瘤杢(こぶもく)
瘤杢は、木の根付近の樹皮が変化して出るコブによって生まれる杢目です。
単に「瘤」と呼ばれる場合もあるほか、別名「バール」ともいわれます。
多く見られるのはポプラやカリンの木です。
花梨の瘤は年々、出回る量が減少傾向にあるため、瘤杢の木材も希少価値が向上しています。
・縞杢(しまもく)
多くの木目が植物の細胞組織である道管によってできるのに対して、色の違いから現れるストライプのように見える模様の杢が縞杢です。
場合によっては模様の出方により、鹿斑縞杢や乱れ縞杢など、細かく呼び分けられます。
縞杢は、主に黒檀や黒柿、ゼブラウッドなどに発生しやすい杢目です。
・如鱗杢(じょりんもく/にょりんもく)
魚のうろこが連なったように見える杢を如鱗杢といいます。
別名「魚鱗杢(ぎょりんもく)」とも呼ばれ、欅や槐の木などで稀に発生する杢です。
きれいに魚の鱗のように見える模様は多くはなく、見る人によっても判断が変わってくるため、なかなか出会いにくい杢といえるでしょう。
・蟹杢(かにもく)
蟹杢は、カニの甲羅上の模様をした杢です。
栂(ツガ)、松、杉などの針葉樹で、特に老齢の樹木に多く見られます。
三味線などでは、蟹の足のように左右に広がっていく杢目が蟹杢と呼ばれるケースもあり、どちらが本来正しいのかははっきりしないようです。
ただ、建物や家具などに使用される木材では、甲羅模様を蟹杢と呼ぶのが一般的となっています。
・鯖杢(さばもく)
鯖杢は、木の幹が二つに分かれる「サバ」と呼ばれる部分から採れる木材に現れる、扇形に広がった柔らかな波のような杢です。
別名「二股杢」とも呼ばれます。
「サバ」は、漢字で書くと魚の鯖と同じですが、本来は「捌く」に由来する言葉のようです。
杢目の整った鯖杢の一枚板は、たいへん数が少なくなっています。
・光背杢(こうはいもく)
光背杢は、光が放射状に輝いているように見える模様の杢です。
お釈迦様や仏像などの後ろにある後光のようにも見えるため、「後光杢(ごこうもく)」ともいわれます。
カリンやクルミ、瘤材などに出現する杢目です。
鯖杢と似ており、入る場所や見る人の感性によっても呼称が変わってくるようです。
・渦杢(うずもく)
まるで渦潮のような見た目の模様をした杢目を渦杢といいます。
一般的に木目は年輪の模様になっている場合が多いものの、美しい渦を描くには、直線部分と玉状の部分が上手く配置されていなければなりません。
そのため、渦杢は、白タガヤなど一部の外国産木材で見られる珍しい杢となっています。
・朧杢(おぼろもく)
雲間に隠れた月がぼんやりと垣間見られる状態である「朧(おぼろ)」のような模様をした杢を朧杢といいます。
朧に見える月は朧月と呼ばれ、主に春頃の月を指す言葉です。
朧のような見た目といわれても、なかなかイメージが湧かないかもしれませんが、表面に細かな模様がたくさんあり、全体的に少しぼんやりした印象を与えるものが主に朧杢と呼ばれます。
楓や欅、紅葉、桑、無患子などの木に発生する杢目です。
・蛙杢(かわずもく)
玉の中に幾重にもカエルの眼のような輪郭が浮かんだ杢を蛙杢といいます。
玉杢と似ていますが、一つの模様の中に、さらに別の玉が入っているのが異なる点です。
魚の卵のようにも見えるため、地域によっては「魚卵杢(ぎょらんもく)」とも呼ばれます。
・蛇紋杢(じゃもんもく)
蛇紋杢は、蛇など爬虫類を側面から見た皮目のような模様の杢です。
蛇紋杢は、紅葉や南米原産のスネークウッドなどに発生し、材木の表面だけでなく、深い部分まで杢目が入っている場合もあります。
・小豆杢・黒小豆杢(あずきもく・くろあずきもく)
小豆杢は、米や小豆大の粒状の模様が連なった杢です。
中には、黒い胡麻のような点が混ざった模様もあり、「黒小豆杢(くろあずきもく)」とも呼ばれます。
発生する樹種はさまざまですが、小豆杢・黒小豆杢は、樹木内の状態や外的要因などによって生まれるため、偶然性が高く貴重な杢目です。
・胡麻目杢(ごまめもく)
胡麻目杢は、ゴマのような小さな粒子状の模様が密集して見える杢です。
美しい胡麻目杢になるには、粒模様が適度な広さと間隔でバランス良く集まっている必要があります。
胡麻目杢は、欅材をはじめ、さまざまな樹種で発生する杢目です。
まとめ
いかがでしたか。
杢目は様々な種類があり、見分けることも難しいですが
木目の中にそれを見つけるとなんだか得をした気分になります。
蟹や蛇、蛙や小豆、胡麻など生き物や食べ物の名前がついている杢目も多く、探してみると面白いですよ。
杢目の模様は木によって異なるため、同じものは二つとありません。
家具の一枚板を選ぶ際は、ぜひ自分好みの杢目を見つけてみてください。